血圧下げるルチン日本ソバの100倍含む

中国・雲南省などの高地で作られる苦ソバ「ダッタンソバ」が、健康に敏感な中高年に人気を呼んでいる。高血圧に効果がある成分を日本ソバよりも多く含んでいる点が注目され、普通のソバ店のメニューにも登場してきた。

埼玉県富士見市の大学非常勤講師、西勝忠男さん(72)は、ダッタンソバの大ファン。三年前の冬に東武百貨店池袋店地下にあるソバ店「平安」のメニューに、偶然見つけた。

「健康のために一日一食はソバを食べていた。栄養価が高いこのソバのことは以前から聞いており、食べてもおいしかったので、今では週に三、四日は食べている」と話す。

ソバ専門商社「イナサワ商店」(東京)によると、ダッタンソバは、中国雲南省や四川省の高地民族イ族が、標高千五百−二千メートル以上の高地で栽培してきた。実に苦みがあり、ソバ粉は日本ソバより黄色っぽい色をしている。一九九二年に中国で開かれたソバのシンンポジウムで紹介され、日本ソバの約百倍というルチンの含有量が注目を集めた。

ルチンはポリフェノールの一種で、血管を強くし血圧を下げる作用があるとされる。こうした効用が、昨年夏ごろ日本でも紹介され人気が急上昇。同社の取扱量はソバ粉が五年前の約二倍、ソバ茶は約三百倍と急増している。

日本で製造・販売されているものは苦みが抑えてあり、独特のコシと風味がある。そば湯も鮮やかな黄色。ソバの実をいったソバ茶は香ばしい。

普通のソバ店でもメニューに取り入れるところが増えており、ソバチェーン「家族亭」(本部・東京)では昨秋から渋谷、中野などの四店で扱っている。「特に健康が心配な中高年に人気がある」と話す。

札幌のソバ店「長命庵」では、三年前から北海道中央部の当麻町の有機農業グループに栽培を委託。スーパーやインターネットで販売している乾麺は月に千五百袋(一袋三百グラム)を売る人気商品になっている。インターネットで健康食品を販売している「日医研」(千葉)では、ダッタンソバが昨年十一月以来、月間売り上げ一位を記録するなど、人気は急上昇中だ。

大妻女子大の松本憲一教授(食品学)は「日本人はもともとソバ好きなところへ、健康志向の血液サラサラブームが相まって人気が上昇しているのでしょう」と分析。「最近はダッタンソバ粉入りの錠剤なども出ていますが、食品からとるのが基本。ビタミンCと一緒にとると効果が高まるので、ダイコンおろしを組み合わせるといい」とアドバイスしている。